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那覇地方裁判所 昭和49年(ワ)111号 判決 1975年10月21日

原告 日本共産党沖繩県委員会

右代表者県委員長 瀬長亀次郎

右訴訟代理人弁護士 新里恵二

同 芳沢弘明

同 深沢栄一郎

同 阿波根昌秀

同 新垣勉

同 国吉真弘

被告 島田光則

右訴訟代理人弁護士 川崎正剛

主文

本件訴を却下する。

訴訟費用は原告代表者県委員長瀬長亀次郎の負担とする。

事実

第一当事者の求める裁判

一  原告

「被告は原告に対し、金一〇〇万円及び内金七〇万円に対する昭和四九年四月一〇日から支払ずみまで年五分の割合による金員を支払え。訴訟費用は被告の負担とする。」

との判決並びに仮執行の宣言を求める。

二  被告

(一)  本案前の申立として、主文と同旨の判決を求め、

(二)  本案について「原告の請求を棄却する。訴訟費用は原告の負担とする。」

との判決を求める。

第二当事者の主張

(原告―請求の原因)

一  当事者

1  原告は、日本共産党の沖繩県党組織を代表する党機関であり、党の規約に基づき委員長、副委員長、常任委員会等の必要な役員を有している。

2  被告は、「新沖繩県民新聞」と称する月刊新聞(以下本件新聞という)の編集人兼発行人である。

二  被告の違法行為―虚偽の新聞報道

1  被告は、昭和四九年四月一〇日付(四七号)の本件新聞において日本共産党に関し一面トップに四段見出しで「共産党下部機関に秘密示達、社公を自滅弱化に」と、中見出しで「当面の敵は社会党」、「京都府知事選社会党を分裂」と記載して別紙記載の内容の記事(以下本件記事という)を掲載して相当部数を発行し、誰でも無償で取得できるよう銀行等の公衆の出入りする場所に配置してこれを不特定多数の人に配布した。

2  本件記事は日本共産党中央委員会が昭和四八年一一月二三日付で下部機関に対し「反社会党の密度(原文のまま)を党員に解認(原文のまま)させる。党の当面の敵は社会党であることを明示し、社会党内の左右両派の疑問・対立急化工作によって自滅させる戦術を強化する。」とか、「公明党に対しては政教不分離は宗教の自由に反する憲法違反であると攻撃を行ない。再び公明党と学会を分離させ弱化さす。」とか、又、「党は以上の立場に立つが表面上は全野党の政策協定の上、参院選の共斗を呼びかける。そしてこの呼びかけに応じないものは反革新政党と宣伝する。」等の内容を記載した示達文書(以下本件文書という。)を出したとの事実を報道し、右事実について解説論評したものである。

3  しかし日本共産党中央委員会は右のような示達文書なるものを発行して下部機関に指示したことはなく、本件記事は真実に反する虚偽のものである。即ち

(一) 「党中央より下部機関への示達事項」というような示達といった形式の文書は日本共産党においてあり得ない。

(二) 文書作成名義が「代々木本部」となっており、更に、本件文書と併記されている「日本共産党東京都委員会労働組合部から三多摩地区委員会労組対策部への指示」という指示文に「日共」という用語も使用されているが、日本共産党は結党以来「代々木本部」であるとか、「日共」であるとかいう用語は使用したことがなく、右の用語法は日本共産党を中傷誹謗する側が使用してきたものである。

(三) 具体的な内容においても、日本共産党は「社共共斗を口実にして」とか、「総評系労組の切崩し」を行うとか、「組合にゆさぶりをかける」とか「侵透する」等の政策ないし方針をとっておらず、党の綱領や党大会決定によっても真の革新統一戦線の確立や野党の共同斗争政策を明らかに打ち出している。

三  原告の損害

1  原告の名誉は戦前の国家主導による反共教育、反共宣伝がいまだ根強く残存する中でたゆみない人民の立場に立った諸活動によって築きあげられてきたものであり、被告の前記行為は虚偽の事実を摘示することによって公党としての原告の名誉を毀損するものであって、原告に対し、回復不可能な大きな損害を与えるものである。これを敢えて金銭に見積もるとすれば金七〇万円が相当である。

2  なお、原告は、被告の本件行為による損害を防止するため、本件訴訟代理人弁護士らに対して昭和四九年五月一日、文書占有移転等禁止の仮処分申請手続及び本件訴の提起を依頼し、原告と本件訴訟代理人弁護士らとの間において、弁護士費用を金三〇万円としてこれを支払う旨の契約が成立しているが、右金員は被告の行為によって生じた損害であるから被告が負担すべきである。

四  よって、原告は被告に対し、被告の不法行為によって原告が被った損害金一〇〇万円及び内金七〇万円については不法行為をなした日である昭和四九年四月一〇日から支払ずみまで民法所定の年五分の遅延損害金の支払を求める。

(被告―被告の本案前の抗弁)

日本共産党は政党法人として法人格を有しているが、原告は同党の一組織でしかなく、法人格を有していないから、当事者能力を有していない。

(被告―本案の答弁)

一  請求原因第一項の事実はすべて認める。

二  同第二項の事実中1、2の事実は認める。その余の事実はすべて否認する。

三  同第三項の事実中1の事実は否認し、3の事実のうち原告主張の委任契約が締結された事実を認め、その余は否認する。

(被告―抗弁)

本件記事は日本共産党という高度な公共性を有する政党組織の活動について国民の知る権利に奉仕する報道の使命を果すべく、公共の立場からより広く報道するため、社会的に多大な信用を得て発行されている「沖繩経済新聞」の昭和四九年三月三〇日付紙上四面の本件文書と同一内容の記事を根拠とし、これを一つの社会的出来事として受けとめ、本件記事に転載して報道し、かつ論評したものである。そして本件記事の表現方法も社会通念上是認し難いほど下品とか中傷的ではなく、その内容も仮に一部虚偽事実が含まれているとしても日本共産党の日常の政治活動を通じて、または自党の確たる政治的見解を国民に示すことによって是正し反論し得る程度のものである。従って本件記事は、仮に事実報道に一部虚偽の事実があったとしても、また日本共産党の社会的評価を多少低下させることがあったとしても政党という高度な公共性を有する組織に関するものであるから、それについての自由な論争、批判を排斥しないためには、許された範囲内のものである。

(原告―本案前の抗弁に対する反論)

一  原告の当事者能力について

日本共産党は「党の綱領と規約を認めて党の一定の組織に加わって活動し規定の党費を納めるもの」によって構成される政党であり、その組織は全国組織、都道府県組織、地区組織、基礎組織から構成され、全国組織の最高機関は党大会で、党大会から党大会までの指導は中央委員会が行なう(日本共産党規約一七条・以下同規約を単に党規約という。)ことになっており、全国の党組織は党大会と中央委員会にしたがわねばならない(党規約一四条五号後段)ので、全国の各党組織と党大会および党中央委員会との関係は上級下級の関係にあるとされる。

ところで、都道府県組織の内容については規約第三章において詳細に規定されており、これによると、各都道府県組織は一年六ヶ月以内に一回開かれる「都道府県党会議」と都道府県党会議において選出される常設の「都道府県委員会」からなり、都道府県委員会は「委員長」と「常任委員会」を選出し、常任委員会は都道府県委員会総会から次の総会までの間、都道府県委員会の職務を行なう(党規約四一条)ことになっている。都道府県委員会の役割は中央委員会の決定をその地方に具体化し、都道府県党会議の決定を実行し、都道府県の党活動を指導する(党規約四〇条)ことにあるが、地方的な性質および地方的に決定すべき問題は、その地方の実情におうじて都道府県機関と地区機関で自主的に処理する(党規約二〇条)ことになっている。

以上のとおり、日本共産党の各都道府県委員会は、独自の規約をもたないが、統一的組織体である日本共産党の一構成機関という側面と合わせてそれ自体社団としての実体を備えているから、原告は、当事者能力を有している。

二  当事者適格について

本件名誉毀損行為は沖繩県で行われ、かつ日本共産党の名誉を毀損することにより、別個の社団性を有する日本共産党の沖繩県組織の名誉をも直接侵害したものであり、このことは前記の県機関が自主的に処理すべき事項に該当する。従って都道府県組織の常設機関である日本共産党沖繩県委員会は、日本共産党沖繩県組織を代表するものとして、本件訴を提起する適法な権限を有する。

(原告―抗弁に対する認否)

本件記事の対象となっている日本共産党が高度の公共性を有する政治組織であることは認めるが、その余の事実は否認する。本件記事は本件文書に基づくものであって「沖繩経済新聞」からの転載ではない。

(原告―再抗弁)

一  被告は、公正な論評の法理を主張しているようにうかがえるが、公正な論評といい得るためには最低限論評の前提をなす事実がその主要な部分について真実であるか、少なくとも真実であると信ずるにつき相当の理由がなければならないところ、本件記事は日本共産党の作成名義を偽った狭義の偽造文書であって、被告は、本件記事を掲載するに際して、その虚偽性について充分に知っていた。

1  本件記事の根拠とされた本件文書ないしこれに基づくビラは昭和四九年二月二八日、三月一日の大阪市教職員組合役員選挙前、川崎市における川崎市教職員組合役員選挙直前、社会党京都府本部大会、千葉市における千葉市長選挙直前にそれぞれ大量配布され、同年二月から今日に至るまでの四ヶ月余にわたって北海道から沖繩に至るまで広範囲かつ長期にわたって配布されており、日本共産党は、本件新聞配布までの二ヶ月間、機関紙「赤旗」等を通じてその文書の虚偽性と謀略性を徹底的に指摘暴露してきたものであり、被告は、謀略文書に対するこのような日本共産党の態度を充分知りながら、本件新聞に本件記事を掲載したものである。

2  本件文書の虚偽性は一見明白であり、事実に基づかないただ日本共産党に対し中傷誹謗することを目的として作成配布されたものである。即ち請求原因第二項の3の(一)ないし(三)の事実は公知の事実である。

3  このように、被告は謀略文書であることを承知のうえで日本共産党を中傷誹謗することを狙って本件新聞に本件文書の内容を転載したものである。

二  仮に被告に右中傷誹謗の意図がなかったとしても、被告が本件記事を掲載するについては重大な過失がある。

1  本件文書の存在については沖繩県内の新聞記者等には知られていたものの、沖繩タイムス、琉球新報等の新聞記者等はこれを偽造文書と判断してその新聞紙上に掲載しなかったが、被告は、本件文書の記載内容の真偽について原告に対して確認すらしないで、本件新聞紙上に本件記事を掲載したものであって、新聞記者として最低限要求される程度の真偽確認義務すら尽していない。

2  仮に、被告主張のとおり、転載であったとしても、被告は転載に当ってはその記事の信ぴょう性について被告自らその真偽について点検する義務があり、これを尽していないからその責任を免れることはできない。

(被告―再抗弁に対する認否)

本件文書が他府県で配布された事実は不知、その余の事実は否認する。

第三証拠≪省略≫

理由

第一  原告の当事者能力の有無について

法人格を有しない人的集合体が、民訴法四六条の「法人に非ざる社団」とし訴訟上当事者能力を認められるためには、その集合体が一定の目的をもって独自の社会的活動をなし、その構成員の変更によっても同一性を失わないような組織をそなえ、その組織において独自の規約をもち、それによって組織の総会などの意思形成の方法、組織の代表の方法、財産の基本的管理運営が確定し、自律的に運営されている団体であることを要する。

原告が日本共産党の沖繩県党組織を代表する党機関で、党規約に基づき委員長、副委員長、常任委員会等を有しているものであることは当事者間に争いがない。

日本共産党が法人ではなくても、右にいう「法人に非ざる社団」として当事者能力をもつことは明らかであるが、その下部機関ないし下部組織の代表機関である原告が当事者能力を有するか否かは、原告が組織としての実体があり、社会活動面および財政経済面において、日本共産党もしくはその下部組織とは独立した主体性をもっているか否かによって判定されるべきである。そこで右の点について検討する。

一  日本共産党における原告の意思形成および活動の独自性の有無

≪証拠省略≫によると次の事実が認められる。

1  日本共産党は下意上達、上命下服を旨とする民主主義的中央集権制を組織原理として、全国組織、都道府県組織、地区組織、基礎組織の四段階に組織され、それぞれの最高機関は、党大会、都道府県党会議、地区党会議、基礎組織の党会議とされていること、そして党会議(もしくは党大会)から党会議(前同)までの指導機関は各段階に応じ、中央委員会、都道府県委員会、地区委員会、支部委員会または支部長、副支部長となっていること。

2  都道府県党会議は、都道府県委員および代議員によって構成され、通常一年六ヶ月以内に一回開かれ、都道府県委員会の報告を審議してその当否を確認したり、党大会と中央委員会の方針と政策をその地方に具体化し、都道府県の方針と政策を決定すること。

3  都道府県委員会は都道府県党会議で選出され、その委員の罷免、権利停止、除名も原則として右都道府県党会議で決定されることになっており、右党会議が緊急に開かれないような場合はその委員会の三分の二以上の多数決によって決定され、一級上の指導機関の承認および次の党会議の承認をうけることになっていること。

4  都道府県委員会は委員長と常任委員を選出し、都道府県総会からつぎの同総会までの間、常任委員をして都道府県委員会の職務を行わせることになっていること。

5  都道府県委員会の役割は、中央機関の決定を地方に具体化し、都道府県党会議の決定を実行し、都道府県の党活動を指導することにあるが、地方的性質および地方的に決定すべき問題については上部機関の決定に違背しない限り地方の実情に応じ自主的に処理することができること。

右事実によると、原告の実体は、委員長という代表者と委員会総会および常任委員会という運営機構をもち各委員の交替によって同一性を失うことのない定期もしくは臨時に活動する会議体的集団で、日本共産党の下部組織というより、その中央機関の決定を具体的に実施指導し、上部機関を補佐して下意を伝達する下部機関であり、同党の沖繩県における下部組織(沖繩県における日本共産党員の総体を指す―沖繩県党組織という)の意思決定機関である沖繩県党会議の決定した方針と政策を実行する理事者会的執行機関であると認められる。もっとも沖繩県固有の問題は原告において自由に処理できるという限定された権限をもってはいるが、沖繩県党会議と中央委員会の決定した方針と政策下におかれ、それらの監督下におかれているので、その場合においても原告の意思形成の独立性はあまりないものと考えられ、執行機関として従属性をもっていることは否定できない。

また原告は組織体としても、原告独自の規約をもっていないことは原告の自認するところであり、専ら上部全体組織の党規約に組織規律されていることが認められる。

二  日本共産党における原告の財政経済的独自性の有無

≪証拠省略≫によると次の事実が認められる。

1  原告は本件訴提起後の昭和四九年一〇月二五日、沖繩県選挙管理委員会に対し政治資金規正法六条一項に基づく届出をしていること。

2  日本共産党における財政については党規約第九章「資金」の表題の下に第五七条ないし第六〇条において簡単に規定されているだけであり、それによると党の資金は党費、党の事業収入および党への寄付などによってまかなうことになっており、党費の納入方法と各級指導機関への配分率は中央委員会できめることになっていること、そして下部組織および下部機関の財政活動に関する規定は党規約上何も定められておらず、原告ら独自固有の事業収益や寄付による受益をとくに認めておらず、右の点に関する原告独自の規約もないこと。

3  党費の党への納入方法は、各党員の所属する機関に納入する方法により、支部に所属する党員は支部へ、県委員会に所属する党員は県委員会にそれぞれ納入していること。

4  沖繩における党機関誌「赤旗」の販売によって得た収益は党の収入となるが、中央委員会から示された一定の比率に基づいて中央委員会からその一部が原告へリベートとして下付配分されることになっており、原告の右「赤旗」販売活動によって得た収益について原告自体が課税処分を受けていないこと。

5  原告は映写会その他の事業活動を実施しているが、その収益について、原告自体が課税処分を受けたことは、収益額の関係もあって、未だないこと。

6  沖繩県において執行される予算は、右の党から配分される資金が財源となるが原告がこれの実施細目を編成し沖繩県党会議の承認を得ていること、そして原告の予算執行については中央委員会に報告することになっていること。

7  原告の事務所となっている建物は党および原告が法人格を有しないため個人の名義で所有権登記されていること。

右事実によると、原告は沖繩県において財政経済活動をしているが、その基礎は、日本共産党の党費および党としての活動による党収入の配分によるものであり、その配分金の使用について原告の支配的意思が及ぶとしても、実質的には沖繩県党会議の承認ならびに党中央委員会の間接的支配の下にしか行えないことが認められる。そうすると原告自体が独自の予算をもっているとみるよりも、日本共産党の沖繩県における予算執行を下部機関として包括的に権限委譲されているか、もしくは下部組織である沖繩県党組織の予算の執行権限をもっていてこれを執行しているものと解するのが相当である。そして原告が沖繩県内において不動産、物品を所持管理しているとしても、それは日本共産党もしくは沖繩県党組織の財産を管理支配しているものと解するのが相当である。≪証拠判断省略≫

原告が本訴提起後政治資金規正法所定の組織要件を具えている届出団体として認められたとしても、それは政治資金の公明化を図る同法の立法目的から相当とされたものに過ぎず、実体的に誰が権利支配しているかという見地から権利主体性を判断していく私法の立場や、いかなる者を当事者とした方が紛争解決上適切であるかという見地から各種団体の当事者能力を判断していく民訴法の立場から異なる認定をするとしても、右事実が決定的な障害となるものではない。

三  以上によれば、原告は、その社会的実体からみると、法人格なき社団である日本共産党の一つの下部機関であると同時に同党の沖繩県党組織の理事者会議的な執行機関であり、独立した組織として自律的規約をもたず、その社会的活動における意思形成面においては、右各組織から独立したものとはいえず、財政経済的活動も独自性を有しないものである。

従って原告をもって法人格なき社団として当事者能力を認めることはできない。

第二  原告の当事者適格について

名誉毀損による損害賠償を請求する場合において、名誉は人格権に属するものであるから、損害賠償を請求する権利はその名誉を毀損されたとする主体が専属的に有するものであり、政党に対する名誉毀損であれば、政党そのもののみがこれを専属的に有するものであって、政党の下部組織はこれを有しないというべきである。これを本件についてみるに、本件は被告が日本共産党を中傷誹謗するために本件記事を報道したというのであり、本件記事の内容自体も直接同党の名誉に関するものであることは原告の主張自体から明らかであるから、被告の行為によって毀損されたとする名誉は同党自体の名誉であって、同党のみがその損害賠償を請求することができるものであって、同党の下部組織である原告はその権利を有しないことになる。

原告は、日本共産党に対する名誉毀損行為が沖繩県内で行なわれる限り、直ちに別個の社団性を有する原告の名誉を毀損することになる旨主張するが、同党の名誉を毀損する行為が沖繩県内で行なわれた場合、直接同党の下部組織の名誉を毀損したと同じ結果をもたらす場合があり得ることは容易に予想されるところであるけれども、それは同党の名誉を毀損することによる反射的なものであって、下部組織固有の名誉そのものを毀損したことにはならないし、また原告が日本共産党もしくはその下部組織である沖繩県党組織とは別個の法人格なき社団とは認め難いことは先に判断したとおりであるから、原告の右主張は前提を欠くものである。

結局、原告の主張は日本共産党の名誉権侵害を主張するにつきるから、当事者適格を有しないものといわざるを得ない。

第三  よって、本件訴は当事者能力および当事者適格を有しない者の提起した訴であるから、その余の点について判断するまでもなく不適法な訴として却下することとし、訴訟費用について民事訴訟法八九条、九九条及び九八条二項を各適用ないし準用して主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 山城政正 裁判官 鬼頭季郎 大田朝章)

<以下省略>

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